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grad, div, curl, and laplacian

gradは勾配(gradient),divは発散(divergence)curlあるいはrotは回転(rotation)を意味する線型な微分作用素であり,∇(ナブラ)記号と内積・外積を使って∇,∇・,∇×ともあらわされる.理工系ならしばしば教養課程のマクスウェル方程式で出会う.具体的な定義などは適切な教科書に任せて,ここでは以下のように三次元のスカラ場の集まりXとベクトル場の集まりYの要素を写し合う何らかの関数たちとして,それらの関係を眺めてみる."関数の合成(f◦g)(x)=f(g(x))に関して,隣り合う矢印を2回進む合成ではcurl◦grad=0,div◦curl=0が恒等的に成立する性質をもち,これがきわめて本質的なところである.また,X→Y→Xの経路を進むdiv◦gradは,(スカラ)ラプラシアンΔとよばれる.雰囲気が掴みやすいように,スカラ場の勾配だけで定まるベクトル場であるポテンシャル場にて例を示す.グレーの濃淡が粒子の濃度を示し,青矢印が各点の濃度勾配を示す.空間の各点近傍で,濃度勾配(の逆向き)に沿って移動する粒子の流出入量を合計したもの,要するに−gradをdivしたものが,各点の濃度の時間変化に比例するよ,というのが拡散方程式∂ϕ/∂t=DΔϕの主張であった.また,ポテンシャル場が回転を含まないのは,curl◦grad=0が示す通りである.(実験医学増刊3820より)

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小林徹也,杉村 薫,舟橋 啓/編

解説は発行当時の掲載内容に基づくものです

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